前回の続き
今回の山行は3日の予定だったので本当なら今日が下山日。ところが日を追うごとに遅れは広がっていて、今朝のスタートも平標山ノ家(16km先)のはずだった。3日の行程は難しいと昨日から感じていたので、延長するべく食料は見直してます。が、どこかで食料を調達できないとさすがに厳しい。
ムジナ平~谷川岳
昨年末にできたばかりのムジナ平避難小屋はきれいで快適すぎた。中は11 人収容でき、自分が泊まったのはハシゴを使って入るロフト。小屋横にもビバークできそうな場所があるので、中継地点としてムジナ平は最適だと思います。
水場は小屋から10分ほど行ったところにあるんですが、とにかく道が荒れているので笹をかき分けないとたどり着けない。
水量はチョロチョロ流れている程度。※2020年8月上旬
出発しようと準備してたら小屋に泊まっていたハイカーに声をかけられ、ブログとかやってたら教えてくれって。こっ恥ずかしくてお伝えできなかったけど見つけてくれるかな。会話のなかでTJARや分水嶺なんて言葉が出てきてびっくりしつつ、考えてみればこんな山奥の縦走路にある避難小屋に泊まってる時点でそういう人達なんだと納得。
3日目にしてようやく晴れて気持ちのいい朝。反面、日中の暑さが恐ろしい。
稲包山まで快適な稜線を行く。
三国峠
10時、三国峠到着。陽が高くなって気温はどんどん上昇。加えてここまで標高2,000mを前後していたけど、三国峠では1,300mまで標高を下げるものだから汗が止まらない。標高が100m高くなると気温は0.6℃下がるといわれているので長居は無用と先を急ぐ。
こんな急階段をひたすら上がり続け。
三国山まで上がると風が吹いてて若干暑さがやわらいだ。平標山ノ小屋までもう少し。滝汗に水切れ寸前でけっこうグロッキー。
平標山ノ小屋
山の日で小屋は多くのハイカーで賑わってました。
オアシスでしばし至福の時を過ごす。
こうしてみるとだいぶ来たことを実感。谷川岳から馬蹄形が待ってるので集中力を切らさないようにしないと。気持ちしだいでロープウェイ使って下りれてしまうので。
小屋のお兄さんとしばし立ち話。これまでとこれからの話しをしておにぎりを調達したら超特大w おまけにようかんまで差し入れてくれて、なんとか下山するまでの行動食は大丈夫そう。人の優しさが身にしみる。
快適そうな小屋のテン場。計画では今朝ここを出発する予定だったので半日遅れ。まだ昼過ぎだから蓬ヒュッテまでは行きたいところ。
平標山に上がると絶景が広がっていた。まさに稜線トレイルといった感じで、やっぱり谷川エリアはハイライトだと思う。
景色を満喫しながら進んでいると、仙ノ倉山を過ぎたあたりから雲行きが怪しくなってくる。モクモクともやが湧いてきてあっという間に雲の中。ポツポツだった雨と風が次第に強くなってきて雷が鳴りだした。稜線上で雷・・・マズイな。
雨雲レーダーで確認すると真っ赤なヤツがまもなくやってくる。
とりあえずポールを畳んで雨風しのげる場所を探すも、周囲には背の低い笹だけしかなくて身を隠せる場所は皆無。ここで動かずやり過ごそうかとも思ったんですが、雨雲の通過には1時間以上かかりそう。エマージェンシーシートを使おうかとも考えたけど、アルミシートなんてくるまってたらさらに雷が落ちてきそう気がして使う気になれなかった(勝手な解釈でそんなことはありません、たぶん)。地図を見ると15分くらい行けば避難小屋。ただ、そこまで行くにはさらに標高を上げなければならず、すぐ真上でゴロゴロ唸りまくってる稜線を進むのは怖すぎる。
悩みに悩んで結局進むことにしました。周囲に身を隠せる場所がないならじっとしてても落雷の可能性はあるわけで、そんな状態で1時間以上待って身も心も消耗するぐらいなら避難小屋に逃げ込みたい。頭を低く中腰にして避難小屋目指す。アルプスの稜線上で雷にあった人が「生きた心地がしなかった」と言ってたけどまさにそれ。今ならその気持ちがよくわかる。
なんとか無事たどり着いた避難小屋。
越路避難小屋
雨と雷の吹き荒れる外を眺めながらしばし放心。ここで足のケアをしたり山行計画を練り直して雨雲が去るのを待つことに。
群馬県にはゴロピカリなんてお米があるぐらい雷が発生しやすい地域。今回の雷雨も山の気象を知っていれば察知することができたはずで、まだまだ勉強不足。雷にあわないのが一番ですが、万が一あってしまった場合の正しい対応策を紹介します。
・樹木(小枝や葉先を含め)4m以内に近づかない。「木のそばへの避難は自殺行為」
・絶対に傘を差さない。ピッケルを頭より高く持ち上げない。(20cmの高さの差が生死を分ける場合がある)
・長いものは、素材に関わらず、体から離して地面に寝かせる。
・ゴム長靴、ビニールレインコートなどは身につけても全く無効。
・金属類は、そのまま身に着けておいても雷を引き寄せない。身につけた金属類を気にする前に安全度の高いところに1秒でも早く逃げる。
・低い姿勢を取る時は、寝そべらず、両足の間隔を狭くしてしゃがみ、指で両耳をふさぐ。(足を広げておくと、落雷時に地面を流れる誘導電流が体を流れ、負傷する)
・落雷の後、次の落雷までの安全な時間はない。
万太郎山
17時半、雨も収まったので再開!万太郎山につく頃には日がだいぶ傾いてて本日も思ったようには全然進まない。こういうのも含めて山だから、反省は必ず次に 活きる 活かす!
昼間の暑さが信じられないぐらいぐっと気温が下がって風が強くなってくる。眼下には関越自動車道が見えるのでちょうど関越トンネルの真上。
よく夜の山をヘッドライトつけて行動するのは怖くないのかと聞かれることがあるんですが、、慣れてしまうとそういう感情はなくなります(獣と眠気を除く)。ただ、この谷川エリアのナイトランは別。稜線の左右が深く切り込んでいて、昼間でも下を見るとぞっとする場所だらけ。これが夜になると底の見えない真っ暗な闇が広がっててとにかく不気味。尾根を下っている時なんて底のない穴に落ちている気分。
オジカ沢ノ頭避難小屋
20時を過ぎるとそろそろ休みたくなってきて、日に日に進む距離が短くなっているのは体力が消耗してる証拠。どこかビバークできそうな場所を探すんですが、とにかく風が強くて凌げそうな場所が見つからない。そんな時に現れたのがオジカ沢ノ頭避難小屋。
中をのぞくと誰もいなくてしばし逡巡。
せめて一ノ倉岳まで行っておくべきでは?
→ 明朝早く出発しよう。
ツェルト使わないの?
→ この強風なんで許してください。
結論:ここでお世話になります!自分にとことん甘い。。
すのこが敷かれた小さなスペースで大人2人がせいぜいの広さ。この写真見せるとドン引きされるけど、当の本人は雨風しのげて温かいこの空間に三ツ星ホテルぐらいの価値を感じてて、脳がだいぶおかしなことになっていた(笑
明日こそ旅の最終日、今日は早めに休んで夜明け前に出発!
Day3(ムジナ平~谷川岳 ※実際は少し手前のオジカ沢ノ頭):26km
雷が完全に接近したときの対処法は助かります
足は閉じるんですね。
あと、雨雲レーダーは便利ですね
電波が無い所だったら雷の察知はどうしますか?
山の天気に詳しく。。。何年もかかりそうw
オジカ沢ノ頭避難小屋、黴臭そうですね。
この二日後に清水峠避難小屋を覗きましたが
黴臭くて萎えました。
キーチさん
足跡たくさん残してくれてありがとうございます。
電波がなかったとしても空の様子がだいぶおかしなことになっている(積乱雲が発生など)ので異変は察知できます。なかには肌がピリピリしたり髪の毛が立ったり(鬼太郎??)という症状が出る人もいるそう。ただ、異変に気づいてから雷雨になるまでほとんど時間の猶予はないと思った方がいいです。雷の音が聞こえた時点で落雷の射程圏内なので、気づいたら速攻で避難するべきと学びました。雷が発生するエリアや時間はだいたいパターン化してるので、事前に予報を見ておくのと避難小屋やエスケープルートを調べておくのが重要です。
ちなみに真夏の山を3日間汗だくで行動し続けると、カビや泥臭さなどまったく気にならない強靭なメンタルを手に入れることができます。下山するとその魔法は解けてしまう不思議なトランス状態。清潔感の塊のキーチさんはそうなる前に発狂してしまうかもしれませんが・・・。