ぐんま県境稜線トレイル 全山縦走記 その5<谷川岳~土合>

前回の続き

ぐんま県境稜線トレイル 全山縦走記 その4<ムジナ平~谷川岳>

ここまで来ればあとは馬蹄形を残すのみ。全山縦走に向けて最終日のスタート!


谷川岳~土合

3時半起床。予定を1日延長したので1回の食事を減らさなければならず、朝食はだいぶ抑えめ。塩羊羹は平標山ノ小屋のお兄さんから差し入れで、それがあるだけ感謝しよう。初日にカップ麺食べてたのが懐かしい。

毎朝のことだけど、身支度を整えてさあ出発とシューズに足を入れた瞬間の濡れてヒンヤリした感じ。これだけはどうにも慣れなくて凹む。仮に乾いていたとしても朝露で5分後に靴はずぶ濡れになるので最初だけなんですけどね・・・。
外に出ると吹き荒れていた風が止んで山は静寂に包まれていた。

谷川岳向けて稜線を進む。鎖を使って下る場面も底が見えないとなかなかスリリング。

肩ノ小屋が近づくころに空が明るくなってくる。谷川岳の山頂で朝日が見れるかな。

谷川岳

素晴らしすぎる。

振り返ると、ここまでたどってきた稜線がはるか先まで見通せて感慨深いものがある。遠く富士山まで見えるのにはビックリ。

早朝の誰もいない稜線で足長おじさん。

一ノ倉岳、茂倉岳を通過したころには日差しがきつくなってくる。

1日増えたけどこの景色を見れたんだから結果オーライ、そう思わせてくれるほど晴れ渡った空ときれいな稜線。

今回は1日の移動距離が30km前後と長くないこともあって4日目とは思えないぐらい体が軽い。なにより足にトラブルがほぼ出てないというのが成長を感じてて、こまめにケアしたのが功を奏したか。このまま何事もなく下山できるといいけど。

この谷川岳エリアも夏は豪快に笹が生い茂っているので藪こぎ必須。特に武能岳~清水峠間は肌の露出を控えることをすすめます。
途中藪払いしている方と会ったのでここまでの状況など立ち話。かれこれ10年以上ここで藪払いしているそうで、もっと増やして谷川岳を整備すればトレランだってしやすくなるだろうにと言ってました。快適に登山を楽しめるのはこの人たちのおかげ。

もし藪払いしている場面に出会ったら、事故防止のために大声で合図をして自分の存在を伝え、相手がこちらの存在に気づいてから通過するようにしましょう。

蓬(よもぎ)ヒュッテ


小屋から10分ほど下ったところに水場。平標山ノ小屋からここまでまったく立ち寄らなかったのでギリギリセーフ。また戻ってくるので、荷物を下ろして水ボトルだけ持って水場まで小走り。笑っちゃうほど体が軽くてやっぱトレランは早いわ。

気温はどんどん上昇。真夏の谷川岳は地獄だとは聞いていたけどこれは想像以上。なんせ谷底から上がってくる風がすでに生暖かい熱気で、まるで沸騰する鍋の縁を歩いてる気分。途中で何人かトレランしてる人とすれ違ったけど、皆さん暑さにかなり苦しんでました。

清水峠

ここまで来れば残るはラスボス朝日岳!まずジャンクションピークまで500m上げるんですが、遮るものが一切ないので太陽光でひたすら焼かれ続ける・・・。

ピークから見た朝日岳。長かった旅の終わりが見えてきた。

朝日岳すぐ下の水場はかろうじて出てました。※2020年8月上旬

朝日岳付近はスマホ版「山と高原地図」が少しずれます。おそらくアプリの問題で地図画像の配置がずれているんだと思う。たいしたズレじゃないんだけど、どこで起動しても毎回ドンピシャだけに気になる。

他に分岐はないし間違えようがないんですが、宝川温泉から上がってくる時は稜線に上がるまでの道がわかりづらいので注意。以前そこでさまよった経験者談。
<参考記事>夏山に持っていくと役立つアイテムのご紹介

馬蹄形というと左回りが一般的?なのか、ここまでに何人かのハイカーとすれ違う。昨日の雷雨が忘れられず、突然の雷雨に気をつけてと毎回伝えてました。この稜線上で雷にあうとか恐ろしすぎるから・・・。

白毛門(しらがもん)

感無量!

14時、白毛門到着。あとは土合まで下りるだけ。旅の終わりに感じる達成感、家に帰れる安心感、そして終わってしまう寂しさが入り混じったこの感じが好き。

最終日だからと足のケアを怠ったせいでくるぶしにできた豆が痛み出し。谷川の暑さにまいって岩に腰をおろして休んでたら、気づくとうつらうつらしてたのでやっぱり疲労は溜まっているらしい。
そんな時に遠くの方で聞こえる雷の音。抜けるような青空で雷雨なんて想像できないけど、昨日の恐怖が蘇り慌てて下りはじめる。

樹林帯に入るころには猛烈な雨と雷で完全リバイバル。雨と雷の音は昨日以上に凄まじくて、ドゴーン!ズゴーン!という爆音はどう考えても近くに落ちまくってる。幸い樹林帯の中にいたのと下山中というのもあってそこまで恐怖は感じなかったけど、さっきまですれ違った人たちは小屋に避難できたかな・・・。

この時の落雷でまさかこんなことに・・・これ見たときは震えました。。

大量の雨と大量の泥水とともに山を下り続け。

下りきると日が差しているところがなんとも憎らしいけど、「また来いよ」そう言われたような気がして、気持ちは妙にすっきりしてた。川でリフレッシュして駅までラストラン!

土合駅


16時半、フィニッシュ!いやー楽しかった!!
勘違いして駅まで行っちゃったけど、厳密には白毛門登山口が県境稜線トレイルのゴール。なお、東京方面の電車は3時間に1本しか来ないので、ここをゴールにする場合は計算に入れておいた方がいいかもしれません。

Day4(谷川岳~土合):22km

終わりに


濃密すぎる4日間を終えて、しばらくの間はロス感に苛まれて抜け殻状態(笑。今回は装備品はもちろん、山行計画を数パターン用意したりエスケープルートを調べるなど完璧に準備したつもりでした。それでも予定通りには進まないしまだまだ反省点だらけで、これがあるから山は面白い。次はどこを旅しよう。

もしこの山域に行かれる方は私の失敗と体験(特にクマ!)を教訓に行かれてください。それぞれのエリアに魅力があるのでどれもオススメ。ルートを小分けにしてもいいし、連休使って一気に走破するのもアリ。縦走慣れてしてる人なら3日で走破できると思うし、猛者だと2日で行けちゃうんだろうか。ルートは今後さらに整備されるでしょうから、自分自身もう一度チャレンジしたいと思ってます。

ぐんま県境稜線トレイル、ぜひ!
※2020年8月8日~12日の記録なので、水場や小屋の状況は変わっているかもしれません。

Day1(鳥居峠~草津峠):45km
Day2(草津峠~ムジナ平):30km
Day3(ムジナ平~谷川岳):26km
Day4(谷川岳~土合):22km
総距離:123km 累積標高差:16,762m ※GPXより算出

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5 件のコメント

  • 谷川岳からの富士山と雲海の写真、ヤバイですね!
    ロングトレイルでの脚のケア方法、今度教えてください。
    やっぱりこの川で汗を落とすのが定番なんですね。
    kooheyさんの残り香を頂きました グヘヘ
    しかしkooheyさんのブログは本当に面白い!
    今回も楽しかったです。ありがとうございました。

  • 長旅というか、大冒険!?お疲れ様です。終盤に谷川主脈、馬蹄形があり、しかもこの暑い時期に単独でよくぞ!踏破できたと思います。これからこのルートを目指す人々にとって貴重な記録になるでしょう。群馬県公式チャンネル「群馬県境稜線トレイル」動画とはイメージが違い過ぎます。
    御飯岳で引き返せたのは大正解でしたネ。行ける人ゆえの心理的分岐点だったと思います。
    熊対策、雷対策、トンボの話など、、たくさん勉強になりました。有難うございます!
    キーチさんと同じく足のケア方法、そして、準備、装備内容、なども教えて頂けたら嬉しいです。

    • キーチさん K.Kiharaさん

      ありがとうございます!
      今年は目標がなくなって何か挑戦したいと思っていたので、今回の踏破は自信につながりました。御飯岳は先の長さを考えて極力リスクは回避と思っての行動でした。今回の山行はそういう些細な分岐点が山程あって、反省すべき点とよくやった自分という思いが6:4ぐらい(笑。

      最後にまとめ記事で締めくくろうかと思ってはいたんですが、長すぎる冒険記に誰もついてきていない気がしてサボってました。お二人のリクエスト&これから県境稜線トレイルへ行かれる方向けの記事をアップするのでしばしお待ちを。

  • とても興味深く読ませて頂きました。装備内容や食料の具体的な計画を教えてもらいたいです。(だからといって真似できるわけでないですが。)秋に甲斐駒往復ランしました。ロードレ-スもまだまだ出ますが、こっちの方向性に徐々にシフトしたいと思っています。

    • 昇龍

      コメントありがとうございます。
      私も走力メインのトレランを楽しみつつ、道具選定から危機回避能力などより多くを求められる縦走にハマっています。ロードレースをされているのでしたら基礎体力は高いと思うので、ファストハイクもきっと楽しめるはずです。旅の締めくくりに、装備や計画などまとめた記事をアップするので参考にしてみてください。

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