ぐんま県境稜線トレイル 全山縦走記 その3<草津峠~ムジナ平>

前回の続き

ぐんま県境稜線トレイル 全山縦走記 その2<毛無峠~草津峠>

ハプニングだらけの初日を無事?に終えて2日目のスタート。


草津峠~ムジナ平

4時半。山の朝は肌寒く、カップ麺で暖を取る。

今回の山行にあたって中野さん(TJAR完走の友人)からたくさんのことを伝授してもらいました。とくに足のケアは入念にしてきたおかげで前日の疲労はほとんど残ってない。この食器を汚さないTipsもその一つ。

夜に雨が降ったらしく地面はぬかるんでいたけど、横手山、鉢山と難なくパス。眼下に見えるのは志賀高原の大沼池。水面はコバルトブルー(硫酸イオンを含む強酸性の鉱泉が湧き出しているため)で、ここからでも池全体が青いのがわかる。

赤石山


予定では1日目に赤石山まで来ているつもりだったけど、あんなことがあったら仕方ない。

そしてここから野反湖までがもっとも情報の少ない区間。野反湖登山案内センターが情報発信を行っているので、事前にこのエリアの状況を尋ねてみると

「ワイルド」というワードが若干気にはなりつつ、分かっていれば対策するまでよとレインウェア上下、グローブ、頭からかぶる防虫ネット、忌避剤など藪漕ぎに備えて万全の装備。あとはワイルドなクマさんがいないことを祈るばかり。

しばらく行くと前情報通り延々と続く藪漕ぎが待っていた。

行く先の山が見えてるんですが、道わかります?w

とは言え、道がまったく分からないかというとそんなこともなくて進むべき方向はなんとなくわかります。基本的にはルートが稜線上なのでそのへんはわかりやすい。
藪に加えて昨年の台風による倒木が豪快に道を塞いでいるので、乗り越えるのに四苦八苦。ここでもわかりづらい場所にはピンクのテープでマーキングされているので道迷いすることはなかったです。

怖いのが、藪で地面が見えないところに倒木がある時。手(足?)探りで進むものだからなかなかペースが上がらない。

水場の看板(表記が1981年て・・・)を頼りに笹をかき分けて行くと。

この区間唯一の避難小屋(五三郎小屋)が見えてくる。

昭和37年に建てられた年代物で、なかなかホラーな雰囲気を醸し出してます。登山マップにはビバーク適地なんて書かれてるけど、ここで一夜を明かすのはご遠慮したい。。

小屋のすぐ横に小川が流れているので水を確保。潤沢ではないから若干汲みづらかったです。※2020年8月

大高山

赤石山からここまで3時間半(CT比0.9)はこのコンディションなら頑張ってる方かな。

たまに地面に動物のフンが落ちてるんですが、そんな時は必ずホヤホヤ具合をチェック。というのもこの辺の道標は軒並み破壊されてて、あちこちにかじったり引っ掻いたりした跡だらけ。クマの存在を意識せずにはいられず、最初はホイッスルを吹きながら進んでいたんです。これがあまりに爆音すぎて耳鳴りが止まらなくなるし、遭難者と間違えられても困るので声を出しながら進むことに。これもいろいろ試した結果、緊急地震速報(ヴワ!ヴワ!)に落ち着いた笑。一見バカバカしいけど効果はてきめんで、笹がガサガサ動いたりすることもあれば、ある時は笹からクマが飛び出して背を向けて逃げて行ったことも。この区間はサファリパークに身一つで飛び込んだつもりで、とにかく自分の存在を知らせることを強くすすめます。

一面笹の海が広がるカモシカ平。

かれこれ5時間以上も藪こぎをしていると感覚が麻痺して藪に対して何も感じなくなってくる不思議。いつもはうっとおしいハチやアブも、トンボの群れに入れば消え去るトンボバリアに助けられながら進んでいると眼下に野反湖が見えてきた。

ここで本日はじめて人に出会う。野反湖を出発してこれから鳥居峠を目指すそうで、クマ(とくに国道沿い)と藪の情報をしっかりお伝えしました。結局、朝に草津峠を出てから野反湖までの9時間誰ともすれ違うことはなく、想像した以上にワイルドな区間だった。

野反湖


曇り空で天空の湖もいまひとつ。湖畔でふやけた足をケアしたり食事をとったりしていたらハイカーに声をかけられる。草津方面から同じルートをたどってきたそうで、山田峠のクマ話をしたら、まったく同じ場所で地面を掘ってるクマを見たって。。※あそこを徒歩で通過する場合、相当な高確率でクマと出会えるんでしょう。
今日はここに宿泊するらしく、この先のビバークに最適な場所など教えてもらって別れる。

白砂山

快適だった野反湖から再び登山道へ。夕方近くで下りてくるハイカーから、これから行くの?と不思議がられつつ軽快に進む。ここまでがワイルドすぎたため、野反湖から白砂山は鼻歌まじりのハイキングコース。

徐々に薄暗くなり始めたのでヘッドライトを装備して尾根を行く。残念なのがトンボは夜になると活動しないので、頭上のライトに群がる大量の羽虫がうっとおしいのなんの。

こういうのを見ると近くにクマがいるんじゃないかと身が引き締まる。ただ、夜間にライトを点灯していてクマと遭遇したことは今のところないのでナイトランの方が安全な気もしてます。

ムジナ平避難小屋

23時。尾根を下ると現れた立派な避難小屋。時間が時間なので中をそっと覗くと6人ぐらい寝てる。仕方ない、小屋の横でツェルト泊にするかと準備してたら中から女性が出てきて、まだ入れますよと声をかけられる。お言葉に甘えて中に入れてもらおうとしたとき、ふと目についたハシゴ。聞けば上にも入り口(積雪時用)があって、そこにも泊まるスペースがあるんだとか。上がってみると、あら素敵!

分水嶺だったら失格(避難小屋は使えない)だなんてことを考えながら、目の前の快適すぎる空間の魅力に勝てず今晩はここで明かすことに。

Day2(草津峠~ムジナ平):30km

ぐんま県境稜線トレイル 全山縦走記 その4<ムジナ平~谷川岳>

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1 個のコメント

  • ビバーク適地www
    緊急地震速報はクマもビックリなんですねw
    もうここまで読んで、群馬県境トレイルは行きたくない感じです
    ハード過ぎる!

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