前回の続き
貯金は30秒
ペースは一定でしたが、20kmを過ぎると他のランナーを次々とパスするようになります。体の軽さからオーバーペース気味で入ると、ペースダウンし始めるがちょうどこの辺りから。そして一度落ちたペースが回復することはまずないでしょう。前回の太田原マラソンがまさにそのパターンで、あの時は地獄を味わった。。
加えてこの暑さ、抑えて入るネガティヴスプリットにしたのは正解でした。。
この先の25kmからkm/4:10まで上げて、40kmからラストスパート。本当は30km以降で上げたかったのですが、ゴールタイム2時間59分50秒というギリギリの設定なので、25kmから上げ始めないと間に合いませんでした。ただ、20km通過時点で貯金が30秒あるというのは心強い。余力は十分残してますが、ここまでかなりの発汗量なので攣りの恐怖がつきまといます。
中間点通過 タイム(公式)/ 1:31:54
前回の大田原よりも40秒遅いタイムですが、あの時とは気力も余力も段違い。今回は足が開放されるのを今か今かと待ってる状態。たったの半年でこんなにも変われるとは、、恐るべし小出監督の練習メニュー。
21km/4:20
22km/4:21
23km/4:17
24km/4:24
25km/4:19
av/21:41
点火
25kmの表示板と給水所が見えてきました。
握りしめていたジェルをすべて口に含み、ポカリスウェットで流し込みます。
肩を回してこり固まった筋肉をほぐし、両頬叩いて気合をいれ直して点火準備OK。
「ヨシ!」
ピッチを上げてkm/4:10ペース。すぐ後ろについていたランナーの足音が遠ざかります。そして前をゆくランナーとの距離がどんどん縮まってゆく。
ネガティブスプリットの何が気持ちいいって、ここまでガマンした分を一気に開放するこの瞬間、後半の疲労感漂う中で一気に離すこの瞬間がたまりません。たったの10秒、しかし1km走ればその差は約50m。貯めていなかったらついて行こうとは思わないでしょう。
26km/4:11
27km/4:11
28km/4:09
29km/4:10
30km/4:10
av/20:51
<試練1>向かい風
地図引用:静岡マラソン公式サイト
この海岸線では折り返し点が2箇所あり、上位のランナーと並走する形になります。5km先を行くということは、2時間40分ペースぐらいでしょうか。こちらも上げているのでそこまでの差ではありませんが、それでもジワジワと遠ざかっていきます。
そして1回目の折り返し点。だいぶばらけているので足へのダメージを考えてアウトインアウトのラインを取ります。
折り返した瞬間、、真正面から押さえつけるような向い風に頭の中は「????」
どうやらここまで追い風だったようで、そのことにまったく気づかず・・・。
マイッタね。。
次の折り返しまで2km。なんとしてもkm/4:10ペースは死守しなければと向い風の中を突き進みます。30km地点を過ぎると、数人で並走している集団を発見。単独は風の影響を受けすぎるので中に入れてもらうことに。
どうにかペースダウンすることなく(体力の消耗は大)第二折り返し点通過。
25kmすぎからここまで抜かれることは皆無でしたが、30kmを過ぎるとこれまで貯めていたランナーが足を解放し始めます。ここから上げるランナーはおそらくサブ3狙いでペースも同じぐらい。たまにkm/4:00ぐらいの早さでスーッと抜いてく猛者もおりますが。
<試練2>雨
そして、いつかくるだろうと思っていた恵の雨が!
火照った頬や腕にパラパラと降りそそぐ雨粒。
「アア、ありがたや、ありがたや」
感謝しながら走っていると、彼方から「ザーーー!」という雨音が近づいてくるという。。
少々強すぎる雨に頭の先からつま先までぐっしょり濡れた状態。
風に雨にとなんとかクリアし、次は何が起こるか。そう簡単には獲らせてはくれないようです、サブ3。
どうにかペースは維持できていますが、ジワジワとそれまでの力が失われていきます。やはり25㎞から点火は早かったか・・・。
31km/4:12
32km/4:13
33km/4:13
34km/4:09
35km/4:09
av/20:56
サブ3の扉が閉じた時
海岸線を離れてまもなく35km地点。足に余裕は皆無で、ちょっとした上り坂でもガクンとペースダウン。もう駆け上がるほどの力が残っていませんでした。この先に一回だけ上りがあるので、そこでどこまでロスするか。
35㎞のエイドステーションが見えてきました。塩分を取ろうと水のテーブルを通り越してポカリをとりに行こうとした矢先、先ほどよりもさらに猛烈な雨。大粒の雨が地面やトタン屋根を容赦なく叩く音であたりは大賑わい。そんな大雨の中でポカリを手渡してくれたボランティアの女の子。ありがとう!
雨で薄まったポカリを飲み干して最後の上り坂。
驚くほど力が出ないことに愕然とします。それまでペーサーにしていたランナーに離され、後から来るランナーにも抜かされ。なんとか登りきった下りで遅れを取り戻そうとするも、駆け下りる力すら出でこない状態。
そして、見えた40kmの表示板。
タイムボードには2時間51分57秒が表示されています。予定よりも50秒遅れ。
逆算すると、残りをkm/3:30ペースでいかないと3時間は切れないということ。
その瞬間悟りました、
サブ3はムリだ・・・
足が完全に終わっている状態にあって、km/3:30は諦めざるを得ません。
そのせいか、周りにはペースを落とすランナーもちらほら。
サブ3への扉が閉じました。
あと少しのところで届かなかった・・・。
もう楽になろう・・・。
そう思ってペースを落とそうとした時、レース前にハセツネを共に駆け抜けたKさん(サブ3ランナー)からの激励メッセージを思い出します。
「切れない」と思ってからゴールまでの時間をどう走り続けるか。
とても難しいです。
この言葉が頭の中でぐるぐる回っていました。
そして出した結論、
走り切って次につなげる。
ファイナルラン
地図引用:静岡マラソン公式サイト
残り2㎞を無心でラストスパート。ペースはkm/4:00で肩から足まで全身悲鳴を上げています。すると黄色いランシャツを着た筋肉質の中年男性(ハルクさんと呼ばせてもらいます。)が同じペースで併走してきます。いや、並走ではなく彼も限界まで上げていて、僕との速度がたまたま一致したのでしょう。
いいね、ハルクさん。
お互いサブ3は逃したけど、最後まで駆け抜けましょうや!
最終カーブを曲がった瞬間、右足に「ビキッ!」と攣る兆候。
ついに来た・・・むしろよくここまでもってくれた。
ヒザを曲げると一気に攣りそうなので、角度を固定して棒のようにギクシャクしながら必死で前に進みます。
残り800m、遥か前方にゴールゲートを捉えます。道の両側からは大歓声。
400m・・・300m・・・200m・・・100m
公式タイムボードが見えてきます。そこに表示されたタイムは、
3:00:15
そのまま手綱を緩めることなく、ゴールゲートを駆け抜けました。
記録:3時間00分42秒
いまだかつてないほどの息切れに、その場でまったく身動きが取れなくなりました。
両ひざに手をついて呼吸を整えます。ようやく落ち着き、一礼してゲートを後にします。
ガードレールに手をついていたハルクさんと握手を交わし、記録証を受け取りに。
同じようにすんでのところでサブ3を逃したランナー達が記録証を受け取っています。
そして、どの顔にも悲壮感が漂っていたように感じます。
高校生ぐらいの青年が、印刷された記録証を手渡してくれました。
「おつかれっした!」
「ありがとう。」
印字されたタイムを見ると現実感が増してきます。
間違いなく最高のカードで勝負ができた。
その結果43秒届かなかったという事実。
これがまぎれもない今の実力。
悔しさ半分、最後に次につなげる走りができたことへのやり切った感半分。
「次こそは!!」
そう決意して、静岡を後にしました。
<終わり>
次回、ちょこっと今回の反省をしてみようかと。
来年静岡マラソンを走ろうという人にも読んでもらいたい内容です。
40キロ地点での心得・・・
とても参考になります。
折れない心
折れても投げ出さない心
最後までやり遂げる心
肝に命じます
かつさん
走力と同じぐらいメンタル力も求められる・・・奥が深いです。
今回のレースではいろいろと学んだような気がしています。
かつさんも今週末の横浜、ぜひ走りきってください!
応援しています。
横浜マラソン
38秒足りませんでした(笑)
つりながらも失速せず
ネガティブスプリットでしたが…
15キロ過ぎでトイレ(笑)
1分くらいはロス(笑)
まぁ自分らしくて
次に繋がる走りをと(笑)
次の楽しみにします
かつさん
なんと・・・お気持ちすごくわかります
しかし、失速せずにネガティブスプリットをされたのですから
ナイスラン!次は必ずいい走りで達成できますね。
お互いあと少し、ケガのないよう頑張っていきましょう!
いつも大変参考にさせてもらってます!
ロード中心にトレイルもお手本です^ ^
前回のレースから小出監督の30k〜、をイメージしてラップペースを意識しつつ、5kごとの通過タイムを予定と比較し、結果とても上手くいきました。
さて、本文中の35k以降のラップペースが見当たりません。
レース中のキツい様子とタイムを見比べて、参考にさせてもらいたいので、掲載よろしくお願いします!
今後ともお世話になります!
RINAさん
そう言っていただけると励みになります!
実は35km以降のLAPタイムを書いていないのにワケがありまして。次の記事をすでに読まれたかもしれませんが、このレースは手元の時計と公式タイムに大幅なずれが出てしまった上に、それを補正しないで最後まで走り続けるというやってしまったパターン。
参考までにGarminのLAPタイムはこうなっています。
36km:4:08
37km:4:12
38km:4:06
39km:4:09
40km:4:11
41km:4:05
42km:4:00
43km:2:29
後半しっかり上げてはいるんです。とにかく目一杯上げましたから。ただ、43kmの部分がGarmin上は650m走ったことになってまして。本来ならここは1分ちょっとの予定。ということは序盤ないしは中盤で実際よりも早いLAPタイムが表示されていたということなのでこれもまた実力。
この大会以来GPSウォッチはあくまでも目安と考えるようになったのは言うまでもありません(笑 いい勉強になりましたよホント・・・。
ラストが参考にならない記事で申し訳ありません^^;
よければ翌年の静岡マラソン2017をどうぞ