【その4】UTMF2018 レースレポ

前回の続き


A7 山中湖きらら


ようやくここまで来た。15時45分到着予定のところ13時50分着で2時間早いペースが維持できているのが意外。今の足の状態だと下りで走ることができないのでここからは貯金が減っていくのか。悪化すると先に進むことすらできなくなる可能性もあるので油断は禁物。

ここでもレッドブルで活!食欲はないけど何か入れておかなければとクリームパンを2個流し込む(頭が働かず咀嚼のことはスッキリ頭から抜け落ちてました)。ちょっとやそっと休んだぐらいで足の調子は良くならないだろうと思い先に進むことに。残り40km、もってくれよ。

出口に向かう途中で目に入ったマッサージと書かれたテント。ここまでにも何度かエイドステーションでマッサージを受けている選手を見ましたが、レース中にマッサージをうける時間なんてと見向きもしなかった。でも、ひょっとして今なら効果あったりする??ダメ元で立ち寄ってみることに。

カクカクシカジカで、まったく走れないんですがマッサージでなんとかなったりします??
触診して、
これは尻までガチガチだ。時間どれぐらいとれますか?
・・・10分位でお願いできるとありがたいんですが。。
わかりました。10分でできる限りのことはします。

股関節から尻の横?を揉みほぐしてもらい、痛気持ちよくてついウトウト。
終わりましたの声で目が覚め立ち上がってみると、軽くなったようなあんまり変わってないような。とりあえずお兄さんにお礼をして出発!

IN:13時54分
OUT:14時23分
順位:170(-3)

走り出してみて相変わらず両足に響くような痛みにガックシ。これだけ走っての疲労だし、ちょっと揉んでもらったぐらいで解決はしないか・・・甘かった。


果てしなく続く明神山の上りでははるか彼方に前を行く選手がちらほら。先を見るとげんなりしそうなので足元見ながら自分のペースで行こうと1歩1歩進んでいたら、前の選手に追いついて次々とパス。ん??そんなにペース上げたつもり無いんだけど・・・もしやマッサージ効果??

上りきってからの下りが激変!
さっきまで着地するたびに出てた痛みがほぼ消え去ってガンガン飛ばせる!ヒャッホーイ!完全復活だ、この調子なら30時間だって夢じゃないとテンションMAX!あっとゆうまに前の選手に追いつき、速攻譲られを繰り返して13人パス。
お兄さんありがとう!!アナタの手は本物です!!

そして30分後、魔法が解けた。

マッサージ前の状態に戻り、わかりやすいほどペースダウン。当然さっき抜かした人に追いつかれるんですが、絶好調でパスしたものだから後ろについて前に出ようとしてこない・・・。(ちょっと調子こいただけなんで)お先にどうぞと譲る情けなさといったらもう。。

今回のでマッサージは効果があることがよくわかった。この先A8、A9ともう2回魔法をかければ再度ボーナスタイムに入れるわけで。次はもっと持続するように飛ばしすぎないようにしようなんてことを考えながら、足は終わりつつも心はまだ元気でした。この時点では。

走れないならと寄り添ってくる睡魔ちゃん。カフェイン入りジェルで追いやるも、だんだんこの間隔が狭くなって来てるのは限界が近い証拠。うつらうつらしながら上っていると、ふと木の根本に大量にばらまかれている切手。もったいないなあなんて思って拾ったら落ち葉だったのにはたまげた。他にも、前方でおじいさんが腰掛けて休んでるなあと近づいてみたら枯れ木だったことも。〇〇のように見えるというのがホントにそのものに見えてきて、手にしたり2度見して始めてそれが別物だと気づく。現実的にそんなものがあるはず無いんですが、そう思えない状態まで疲労すると見れるみたいです、幻覚w

夢?幻覚?そんな狭間を彷徨いながら待ちに待ったA8到着。

A8 二十曲峠


なんとかたどり着いた。まずは足に魔法(マッサージ)をかけてもらわないと。スタッフに尋ねると、ここにはマッサージ設備はないと返答されて愕然。。
この先に待ち構える杓子山にこの足の状態で行かなければならないとは。それならばと仮眠用のテントを借りてさっきのお兄さんにされたことを見様見真似でセルフストレッチ。どこまで効果あるかわかりませんが。

このエイドで驚いたのが、石川弘樹さんがスタッフでいたこと。あっちにこっちに忙しそうに動き回っていました。武尊では同様に奥宮さんがエイドのスタッフをしてたりで、大きな大会だとトップランナー自らがスタッフとして関わっている。まだまだ大きくないこのスポーツを安全に、そして楽しんでもらおうという気持ちが伝わってきてイイなと感じます。
そんな石川さんにいつもコイツ(ルーファス8)には世話になってますと伝えると、さわやかな笑顔で装備全部入りましたか!?なんて驚かれ。

IN:17時30分
OUT:18時02分
順位:166(-4)

残念ながらセルフマッサージの効果は全く感じられず、足は完全に終わった。前にも後ろにも選手はおらず、辺りの木にはクマが爪で皮を剥がすのを防止するカバーが無数に取り付けられ。今クマに遭遇したら成すすべなしだなんてことを眠い頭でぼんやりと。

日が暮れて2日目の夜が始まった。そしてこの夜、とことんまで自分と向き合うことになる。

杓子山の超がつく急登はさすがに眠気とは無縁で全身使ってよじ登る。上った先がピークじゃないトレランあるある。彼方の山頂で赤いランプが点滅してて、あそこまでいくのかとぼんやり考えながら疲労で何も感じない。。上りきるとお待ちかねの下りも、終わってしまった足腰ではゆっくり下るしかなくて後続の選手が来たら道を譲り続けます。

こうなるともうネガティブのスパイラルで、だんだんと何やってんだろオレという思いにとらわれ始めます。理想の走りをすることしか頭になくて、こうなるなんて考えてもいなかった。今の順位がどれぐらいか全くわからないけど、こうしてゆっくりでも進み続ければたぶんゴールにはたどり着けると思う。

やりたかったのはこれなのか?
ずっと憧れてたUTMFで、これをしたかったのか??
自問自答すればするほど、これじゃない感に包まれ。このままレースを続けることに虚しさを覚えて足取りはどんどん重くなる。

やめようかな。

一度そう思うとどんどん大きくなっていく。そうだよ、武尊はポイントが欲しくて最後まで続けたけど、UTMFは完走が目的じゃない。こんな気分でフィニッシュしたってイミがないし、いつかと夢見たレースをこんな思いで終えたくない。ポイントはこの先も使える。もっと鍛えて来年また帰ってこよう。その時こそ、自分の走りで最後まで走り抜こう。

完全に心が折れました。150km以上走ってきたのにもったいないなんて思いは一切無くて、それよりも納得できない今の状況を早く終わらせたかった。そうと決めると幾分気は楽になりフィニッシュのA9目指して歩き続けます。A9からなら河口湖もそう遠くないし、バスが来るまで寝て待つとしようなんて思いながらエイドの明かりが近づいてきた。

今回はここまで。
そう、これでいい。

【その5】UTMF2018 レースレポ

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