分水嶺トレイルに向けて奥多摩主脈縦走に挑戦!<DAY 1>

2週間前の週末、奥多摩主脈縦走に挑戦してきました。清里から奥多摩を目指す奥多摩主脈縦走の95kmは毎年7月に開催される分水嶺トレイルの逆まわり。今回はテントにシュラフを背負ってのファストパッキング。装備から山行計画まで万全のつもりでしたが例のごとく予定通りには進まないもので・・・。今後に向けいい勉強になったので山行記録もかねてレポ。


分水嶺トレイルとは

4つの分水嶺と4つの百名山を 3日間で通り抜ける、 沿面距離120km累積標高差12,000m(Bコース) 短い距離ながら、大変タフな縦走大会。秩父・甲斐・奥多摩国立公園の中で、自分の荷物は自分で担ぎ、山のマナーを守りながら、単に競い合うだけでなく自然を満喫し健脚縦走を楽しむ大会です。「いつかはトランスジャパンアルプスレースに出てみたい、その為の練習ができないかな?」という方、向けの大会になっています。

引用:大会公式サイト

「いつかはTJAR」というくだりにハートをがっしりわしづかみ。このレースを走るためには書類選考を通過しなければならず、事前の試走はもちろんのこと、山行経験や救急救命技術、ビバーク経験などを厳正に審査されます。選考にはトレラン経験は一切含まないというあたりがトレイルレースと異なるところ。とことんまで装備を削って記録を追い求めるのも楽しいんですが、それはあくまでも山を楽しむ要素の一つ。だもんでこの分水嶺トレイルの「早さ」じゃない山の力を求めるところに惹かれています。ちなみにこの分水嶺トレイルで上位の選手であっても、TJARの審査ではあっさり落とされてるなんて聞いたのでTJARを走る人はやっぱすごい。

山行計画


コースタイム比0.6で組んでみたけど、ザックが7kg以上あるのでどうかな。1泊2日のテント泊で睡眠時間を確保しながら行こうとすると、これぐらいのペースでも厳しい。最後までたどり着けない可能性も十分あるので、エスケープルートやバスの時刻表チェックはお約束。2,500m越えは0度まで冷え込むのでダウンやグローブなど防寒着も準備。それと、初めて行く山は過去の事故なんかも見るようにしています。滑落や道迷いは誰にでも起こりうるので、頻発する箇所を知っておくと多少は役立ちます。金峰山なんて事故情報が山程見つかるので気をつけねば。

DAY 1

8時30分 清里駅


清里駅は標高1,275mでJRグループの駅の中で2番目に高いそうで、下車した瞬間にわかる冷たい空気。コンビニで食料を調達なんて思っていたら、駅前にはそのたぐいは一切ありませんでした。近くのコンビニまで2km、、出鼻をくじかれた・・・。

反省:清里駅前にはコンビニがない

9時45分 飯盛山

ここまでは迷うこともなくサクッと。雲と風が出てきて肌寒い。
飯盛山(めしもりやま)とはよく言ったもので、こんもりした姿がかわいい。

飯盛山から先はのどかなハイキングコースから一転、荒れた登山道のスタート。人がまったく立ち入っていないため道の判別が難しい。かろうじて踏み跡っぽいのを頼りに進みますが、実は獣のだったりしないかと半信半疑。GPSで現在位置を見ながら道なき道をゆく。

足跡はフェンスの先に進んでいて、さてどう乗り越えたものかと頭を悩ませ。覚悟を決めて手をかけたら、ここだけフェンスが切断されていて扉のように開いたりとこれぞリアルドラクエ。

こんな日に限ってゲイターをつけていなかったので、あちこち擦り傷を作りながら笹をかき分け進みます。途中で一人のハイカーに追いつかれ、聞くとさっきのフェンスは乗り越えて来たって(笑 しばし一緒に進むことにして、足の露出を言い訳にハイカーの後に続く格好だけランナー。。

豆腐岩まで来るとようやく道がよくなってハイカーと別れを告げる。

反省:飯盛山~信州峠は下半身を露出するべからず

信州峠からしばしロードを行くと瑞牆山荘到着。ここで昼飯をとる予定でしたが、計画よりも1時間遅れているので素通り。序盤の荒れた登山道は予想外すぎた。

遅れを取り戻そうとほとんど休まず進んでいますが一向にタイムは縮まらず。コースタイム比0.6なのでそう簡単に縮まるわけないか。。

15時 富士見平小屋


富士見平小屋はたくさんのハイカーで賑わっていて、テン場には無数のテント。本日の登山を終了してビール飲んだり肉を焼いたりする人達を眺めながらカップ麺を食べていたら、今日はここまでにしようかなんて誘惑に駆られる。空が暗くなってきて雨がぱらつきはじめるとテンションはさらにダウン。が、まだたったの25kmで全行程の3分の1も進んでない。さすがに休むのは早すぎると誘惑を断ち切ってレインウェアを着て出発!

下山するハイカーから「これから登るんですか?」なんて声をかけらながら進んでいると、次第に人の姿が見えなくなって雨がみぞれに変わった。動いているので寒さは感じませんが、今晩は極寒の中で寝るのを覚悟した方がよさそうだ。

あたりは薄暗くなりみぞれがしっかりした雪に変わります。地面に岩が増えてきたのでもうすぐ尾根に出る頃かなと思って進んでいたら・・・・ん?

前方に見えるのは、、人?
こんな時間に、、、人???

ライトもつけず立ち尽くす人がいて、これは出会ってはいけないナニかではないかと心臓バクバク。恐る恐る近づいて声をかけるも反応がないのでドキドキハラハラMAX!!何度目かの声かけでゆっくりこちらを振り向き、その顔はひどく驚いた様子。聞くと高齢の女性でお年は73歳。この先の金峰山小屋へ向かっている途中で道がわからなくなり動けなくなってしまったそうな。まさかこんな時間に人と会うとは思わなかったと・・・僕もです。。

地図を見ると金峰山小屋まで標準タイムで1時間弱。先ほど通ってきた富士見平小屋へ戻るべきかで悩みましたが、小屋には電話で予約してるそうだし、しっかりしたウェアを着ていて寒くはないということだったので先へ行くことに。このペースだとこちらが寒さでやられてしまうのでダウンを着て防寒対策。老婆(仮称Aさん)にはヘッドライトを装備してもらうと、お持ちのライトは豆電球のような暗さ。この天候ではまったく意味をなさないので、自分が先になってAさんの足元を照らしながらゆっくり進みます。

尾根に出ると強風と雪が吹き荒れ、足元の岩肌にはうっすら雪が積もるハードゾーン。こんな場所をこんな時間に73歳の女性と登ってることが信じがたく、なんとしても小屋へ送り届けねばと気が引き締まる。Aさんはだいぶ体力を消耗してるようで岩を上るのも一苦労。ここで道をロストしたら2次遭難にもなりかねないので、岩影にAさんを休ませて先の様子を見ては戻るを繰り返す。そんなことを繰り返していたら、「あなたは登山家ですか?」と尋ねられて苦笑。ただのへっぽこトレイルランナーですなんて言ったら不安にさせるだけなので、単なる山好きですと返答しました。知らぬが仏。

霧と雪で視界は最悪でしたが、GPSで現在位置を確認しながら慎重に進んでいたので着実に山小屋へ近づいているのはわかりました。何度目かで暖かそうなオレンジの光が灯る山小屋が現れた。よかった・・・。
こんな時間に悪天候の中を二人で登場したものだから、夕食後でくつろいでる小屋の人たちをだいぶ驚かせてしまい。事情を説明して、震えの止まらないAさんをストーブのそばで暖まってもらったらようやく落ち着いて笑顔が戻ってきた。本当よかった。これにて任務は終了。Aさんから何度もお礼をされ、山小屋ではちょっとしたヒーロー扱いでしたが、それがなんだかこそばゆくて足早に小屋を後に。その場の人たちから「こんな時間に行くの!?」と驚かれましたが、小屋の人は特に驚くでもなくテン場までの時間と道順を教えてくれました。きっとこういう人が一定数はいるんでしょう。

時刻は20時。順調に行けば1時間半弱で、ここよりも標高は下がるので雪がないことを祈ろう。
温かい小屋から一転、吹雪の中を金峰山を目指します。山頂に近づくにつれて強風が強くなり、足元の雪もうっすらどころではなくなってきて滑るのなんの。そしてたどり着いた金峰山山頂(2599m)。

弱まる気配のない雪と吹き荒れる強風でここから先の尾根道は完全に手探り。防寒対策はしてるけど、軽アイゼンを持ってないこの状況は危険と判断して小屋へ引き返すことにしました。人助けをしたすぐ後に自分が命を落とすわけにいかんです。

反省:10月末の高地は雪が降ることを考慮すべし

山小屋では気を使って?Aさんと自分を隣同士の布団にしてくれ。極寒のテント泊を覚悟していただけにヌクヌク布団にくるまって寝れることに幸せを感じながら横になると、Aさんが一言「こうして布団で寝ることができてホントよかった」と・・・僕もです。。

今回のことはごく当たり前のことをしただけなんですが、トレイルランナーとしてハイカーを手助けできたというのが良かったなとは感じます。あんな時間に山を移動しているハイカーは皆無なわけで、Aさんと出会えたのもトレランしていたからこそ。富士見平小屋で先へ行こうと決めた自分ナイス!時にトレイルランナーはハイカーからあまりいい顔をされなかったりもしますが、少なくともこの山小屋にいる人たちにはいい印象を持ってもらえた(ハズ)。

今日は30km弱と全然進んでいないけど、どっと疲れが出て一瞬で眠りに落ちました。

分水嶺トレイルに向けて奥多摩主脈縦走に挑戦!<DAY 2>

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3 件のコメント

  • おつかれさまでした。

    ドラマのような話しってあるんですね。自分がそこにいたら助けることはできたなかなぁ。

    返事ありがとうございます。たぶん!?この先コーヘイさん頼りにしていくと思いますので、よろしくお願いします。

    質問とかは、こちらでいいですか?それとも下のコンタクトのとこから送った方がいいですか?厚かましい奴ですいません。

    週末、いつもより早めのペース走というのに挑戦してみます。

    • かつおさん

      まったくびっくりです。あの局面になれば1人にして立ち去る人はいないと思いますよ^^;

      ご質問はコンタクトからご連絡ください。いただいた内容によっては記事にしてお答えしたいと思います。

      • ありがとうございます。

        コーヘイさんを頼りにしすぎてもいけませんが、何分マラソン…わからないこと、しらないことばかりなので、その時はちえをかしてください。

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