【その4】第4回上州武尊山スカイビュートレイル レースレポ

前回の続き

辺りは闇に包まれ、畑に囲まれた道をゆく。平坦路ですが、しばらく走っては歩くの繰り返し。お腹がね、いつまでも走らせてはくれんのです。

トレイルの上りになると前のランナーに追いつくも、平坦路や下りであっさり抜かされるというジレンマ。序盤の吐き気も参りましたが、コレもまたツライ。汗はすっかり乾いて腹部は完全にドライな状態なので、この苦しみから解放されるのは時間の問題だとは思うんです。さあ果たしてそれはいつだろう??


三度目のゲレンデ直登

ペースを上げられないので腰ライトは使わずにヘッドライトのみで山に入ります。だいぶ進み、そろそろゲレンデが近いかなと思っていたらスタッフの誘導灯が見えてきた。それに従い角を曲ると、ドーンと三度目のゲレンデ直登!!今回は路面が芝生ではなく舗装路なので幾分マシか。
※暗すぎて全然伝わらない・・・果てしなく上り坂が続いております

遥か上まで伸びるライトの列が妙にキレイで、ヘッドライトを消して空を見上げると都会では見ることのできない満点の星空。夜もいいね、スカイビュートレイル。

そして上がったら下るお決まりパターンでしたが、この頃には腹の調子がだいぶ回復して少しは走れるように。走れるのが嬉しすぎて気持ちよく駆け下りA5到着!エイドの手前でスタッフが無線を使ってゼッケン番号を伝えているらしく、到着と同時にドロップバックを渡してくれるスムーズさ。

A5 オグナスキー場


タイムは16時間15分ともはや25時間は完全に圏外でしたが、ここまでろくに走れなかったおかげ?で足も胃もピンピンしてる。まだゴールまで54kmあるのでここから順位を上げていこう。

疲れて戦意喪失している人もいれば、せっせと次の準備を整える人もいて。疲労した表情の人が圧倒的に多かったです。

ドロップバッグから補給食とストックを取り出しザックに詰め替え。使わなかった補給食はドロップバッグに戻します。ウエアもシューズもドライだったので替えを準備していましたが使わずこのまま行くことに。← この判断を後ほど100回ぐらい後悔することになる。。

豚汁、バナナ、カキピーにスニッカーズとモリモリ食べて元気100倍!胃はすこぶる調子が良くて、腸もだいぶ回復してきたので後半戦は楽しもう。

仕切り直して再スタート!

早々にポールを組み立てて出発!やっぱ上りではポールがあると断然楽。グングン上がったら持ちかえて一気に駆け下りる。暖かいところで休んだからか腹も鳴りを潜めておとなしくなっりました。色々あったけど、今度こそ存分に楽しませてもらうとしよう。A5からA6までの舗装路はしっかり走って再び順位を30ほど上げることに成功。

A6 赤倉林道分岐


タイムは18時間半。同日開催のスカイビュートレイル70の選手をパスしました。夜になり冷えてきたのでアームウォーマー装着。エイドにはストーブが置かれていて付近で寝ている人の姿も。

若干疲労を感じつつも、しっかり食べれてジェルも摂っているので余力十分。この辺までくると疲労でエイドでの滞在時間が長くなるらしく、座り込んで動かない人もちらほら。ここは離すチャンスと足早に出発。

前にも後ろにも他の選手は見えず、真っ暗な赤倉林道(砂利道)を独り淡々と進んでいると、突然刺すような痛みが右足を襲う。

「???」わけがわからず、棘でも刺さったかと立ち止まってシューズを脱いでみたら仰天!!靴下の親指横と付け根の横が破れて皮膚が露出。その部分がふやけて白く膨らんでいる。豆、、というか巨大な水ぶくれ。

予想外の出来事 <その4>
靴下が破れる。

バンドエイドやテープを貼ろうと試みるも、足にガーニーグーを塗っているせいでまったくくっつかない。シューズの砂利っぽさを取ろうとついさっき川に足を入れてジャブジャブしたばかり。まさか靴下が破れているなんて思ってもみなかった。足ふやけまくってます・・・。マズイ、これは今日一番にマズイ気がする。とりあえず同じ個所が擦れ続けないようにと、破れた靴下を裏返して履く足を左右逆にしてみる。これがほとんど無意味で右足親指の痛みが増す&足裏全体に広がってくるというね。豆をかばう歩き方になるせいで筋疲労がまたツライ。当然走ることなんてできるわけもなく、ストックをつきながらトボトボと。
残り40㎞・・・。

睡魔に負ける

スタートから19時間が経過し、時刻は24時。そしてこの展開で襲ってくるのは猛烈な睡魔。歩きは緊張感ゼロなので眠くならないわけがない。時々ストックに体を預けては数秒だか数分だけ仮眠。今は舗装路だからいいけどこの先の山道は危なすぎる。確かもう少し進めば仮眠所が用意されていたはず。そこまで頑張ろう。その先のことは、そこまで行ってから考えよう。

記憶通りで、スタッフが仮眠所を案内してくれます。真っ暗な中に浮かび上がるログハウス。柔らかな光が見るからに心地よさそう。

中はストーブがたかれて温かく、毛布にくるまったたくさんのランナーが。一見すると野戦病院の様相ですが、毛布にくるまった顔は皆気持ちよさそうで。遊び疲れた子供のように寝入る姿になんだか心が和みました。そしてもれなくワタシも仲間入り。

30分後にアラームで目を覚ましたのですが、あまりにも心地がいいので追加でもう30分。幸せすぎるw
計1時間の睡眠で頭はスッキリ。ただ、足はこれまでのトラブルのように休んでどうにかなることはなく。むしろむくみでシューズを履くのに一苦労。ここから次のエイドステーションまで峠を越えて15km。この足の状態でそこまで行ったらどうなるのか想像もつきませんが。まだいける。

ここからA7までは真っ暗な山道をゆっくりと上り、ゆっくりと下る。たくさんの選手に抜かされましたが、こうなってしまうともはや何も感じず。足の痛みに耐えながら、ただ淡々と先を目指す。それだけでした。
空が明るくなってくる頃にW3(ウォーターエイド)到着。明け方で吐く息が白かった。

ここからA7までは峠を越えてあと7㎞。走れれば1時間少々ですが、今日はその倍以上かかるな。

長い夜だった・・・。

足の具合は進むごとに悪化していて、一歩一歩がまるで針の上を歩いているように痛い。あそこで靴下さえ替えていれば・・・後悔しながら、今は先に進むしかないという状態。A7までは行こう。

A7 太郎大日堂


タイムは26時間。予定だと・・・いや、それは言うまい。これが現実でありまぎれもない今の実力。温かいコーヒーを飲みながら、さてどうしたものかと思案。

ゴールまで残り21kmは5時間以上。もしここでやめれば国道を真っすぐ3km弱。

痛みに耐え、次々にパスされ、こんな状態でゴールすることに意味があるんだろうか。今回は準備不足と割り切ってリタイアするべきでは。これ以上続けると2週間後のハセツネだって走れなくなるかもしれない。ヤメル理由がいくらでも浮かんでくるのは相当参ってる証拠。
じゃあ続ける理由は?完走ポイントを得るのが半分、ここまで来たので最後まで行きたいという思いが半分。

いままでDNFした経験がないとこういう時になかなか決断できない。制限時間に間に合わず強制的に終わるのと違って、もはやここまでと自分で終わりを決めるって難しい。ただ、ここで続行しても命に関わることはなくて、あるのはひたすら激痛が続くだけ。そのことで後悔したとしてもそれは授業料と割り切れる。たかが足の豆(されど豆・・・)、死ぬほどじゃないし行っとくか。

ラストラン

エイドを出てからの上りは他のランナーも疲労しきっているせいかほとんど同じぐらいのペースでした。途中、上から引き返してくる人が。声をかけると、リタイアを決めたそうでA7に戻るとのこと。「お疲れさまでした。」とだけ声をかけてその背中を見送る。24時間走り続けた者同士、他にかける言葉はありません。

上りが終わると、後ろから次々とランナー来てひたすら道を譲る。そうこうするうちに抜いていくランナーがほとんどいなくなり、どうやら自分がボリュームゾーンから外れたことがわかります。そして相棒(Fenix5)がついに眠りについた。
※ウルトラトラックモードで29時間弱

時間を気にせず山を歩いているといろんな思いが浮かんできます。
あんなことやこんなことがあったなと思い返しながら、なんだかんだ楽しかったと感じている自分。色々やらかしてしまったけど、それもいい経験になったと感じている自分。自問自答して行くと決めた答えに満足している自分。そしてウルトラトレイルの魅力にとりつかれている自分。

W5(ウォーターエイド)到着。タイムも時間もわからないし気にしない。わかるのはここが124km地点で、残りは5kmということ。

エイドを出て少し上ると絶景が広がっていました。

足は、痛いです。。。

雨乞山から急こう配を下ると舗装路に。スタッフの誘導に従いハイライトの橋を渡る。

FINISH


ゴールテープの先には横山さんがお出迎え!楽しかったレースの礼を伝えます。

タイム:32時間00分

いやはや長かった。25時間目指して臨んだ始めてのウルトラトレイルは、終えてみれば7時間オーバー。足の痛みと引き換えに完走という満足感とポイントは得られましたが、やはりくやしい思いもたっぷりありますね。今回のレースレポは自身の反省のため、起こったことすべてを糧にして来年もこのレースを走ります!このままでは終われない。

予想外の出来事
<その1>胃がムカムカし始める。
<その2>腹を下す。
<その3>忘れ物で2度もコースを逆走する。
<その4>靴下が破れる。

なお、足のダメージは尋常ではなくて2日間はむくみと水ぶくれで革靴を履くことができずサンダル出社w 爪はほぼすべてが終わってました。結局ランニングを再開できたのは6日後とかつてないほどのダメージ。それでもウルトラトレイルをこれからも走り続けることは間違いない。フルマラソンにもウルトラマラソンにもない魅力を秘めたウルトラトレイル。その魅力に一発で虜です。

次回のウルトラトレイルは、UTMF2018!!(予定)

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6 件のコメント

  • 完走おめでとうございます!
    いろんなトラブルを乗り越えてのゴール、すばらしいのひと言です。
    そして、武尊の過酷さが伝わってきました。
    (ちなみに、A5の写真に、知人の後ろ姿が写っていました、笑)

    レース中の数々のトラブル、私も経験しました。ただ、コース逆走の経験だけはなかったかな…(汗)
    神経質なので、トイレでもどこでも忘れないように装備や荷物をまとめて置くせいかもしれません。

    アカシャ、いいですよね。自分もレースなどで今期使っています。今までのシューズで一番信頼が置けます。itoitexは……。
    今年の野辺山100kのとき、暑さ&怪我の対策で脚に水かけまくり、水抜けがよく助かりました。
    でも、その後の美ヶ原トレイル(雨&泥んこ祭り)では爪の先ほどの小石が靴の中に入ったせいか、ゴール後にシューズ脱いだら破れてかかとに大きな穴が(Kooheyさんの写真と同じく)。別の箇所にも……。
    距離が短かったのでマメは大丈夫でしたが、強度的にトレイル向きではないかもしれないと思っています。

    24時間越えのレースは、私も去年一度走りました。
    地元のお店主催の、里山をめぐって回るプライベートレース(最長約130k)ですが、一晩明けて最後のエイドについたときの風景や空気。ゴールまでの道程。最後のほうの写真でそれが鮮明に思い出され、武尊も走りたくなりました(笑)

    とても長いコメントになり、すみません m__m
    本当にお疲れ様でしたー!(*^_^*)

    • きじすけさん

      熱いコメントありがとうございます!
      小江戸大江戸、信越五岳と経験されてるからこその共感だと思います^^ しかもイトイテックスで同じ経験されてるとは、、やっぱりそうだったんだ。。。
      今回は度重なるアクシデントになんかうまく噛み合ってないなと感じながら走ってました。これも今だから言えるのですが、それらアクシデントはすべて防ぐことができたんですよね。逆走なんて単なる不注意だし・・・。
      実際に走って失敗したから得られたことが山ほどあるなと。言い換えると、それは走らなければわからないことだったりもするわけで、道具の選定からレースマネジメントに至るまでウルトラトレイルの奥深さに見事ハマりました(笑
      きじすけさんとどこかのレースでご一緒できることを楽しみにしています!

      あ、あと私が使おうとしているギアで「それはヤメといた方が・・・」という物などあればバシバシコメントよろしくお願いしますw m(_ _)m

  • ウルトラトレイル、お疲れさまでした!!過酷ながらも楽しい様、ビシバシ伝わってきました。自分もいつかと憧れます。(≧▽≦)

  • A5で靴を持っているのはボクです。
    仮眠所、最高でしたね!なければ確実にDNFでした。
    長かったけど終わってみればあっという間でした。
    同じ時間を共有できた方々がおり嬉しく思います。

    • あまちゃんさん

      そうでしたか^^
      おっしゃる通り、楽しい(時に苦しい)時間はあっとゆう間に終わるものですね。あまちゃんさんも私とはまた違った時間を過ごされたことでしょう。仮眠所では一緒だったみたいですがw
      この長くて楽しいレースを今年も走ろうか迷っています。(本音では走りたいんですがハセツネに疲労が・・・)

      きっとまたどこかのレースでご一緒することになろうかと。お互いケガなどすることなくこれからも山を楽しんでいきましょうね!!

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