いつかやってみたかったターサージールとジャパンの履き比べ。ショップで足を入れた時はジールがタイトでジャパンがルーズぐらいの違いかと思っていましたが、いざ履き比べてみたらとんでもない。
結論から言ってしまうとこの2つのシューズはどちらもターサーと言いつつまったくの別物です。それぞれに特徴があるので、どちらか迷っている人は参考にしてみてください。
特徴比較
TARTHERZEAL 5の特徴
FlyteFoamを搭載。スピードを追求したTARTHERZEAL 5。
・FlyteFoamをミッドソールに採用し、クッション性と耐久性を両立。
・プロパルションプレートを搭載し、強い蹴り出しを実現。
・蹴り出す方向へ優れたグリップ力を発揮するデュオソールを採用。
一番の特徴はTARTHERZEAL5から採用されたFlyteFoam。優れたクッション性と軽量性の両立を実現しながらも重量がEVAの約半分という驚きの新素材。軽さ・クッション性・耐久性のすべてを兼ね備えています。
ターサーといえばデュオソール。樹脂製なので耐久性は決して高くありませんが、蹴りこんだ時の地面をしっかり掴む感じはターサーならでは。
最新版はターサージール6。より軽くなって正常進化しています。
TARTHER JAPANの特徴
グリップ性を追求したTARTHER JAPAN
・さまざまな方向へグリップ力を発揮することができるターサージールと同じ形状のデュオソールを採用。
・かかと部には重心移動がよりしやすい形状のGELを内蔵、また安定性に優れた構造を採用。
・かかと部のデザインを改良し、フィット性がさらに向上。
ミッドソールに反発性と弾力性にすぐれたSpEVA(スピーバ)を使用。近頃はFlyteFoamがあちこちで使わている中にあって、さすが17年間ほとんどモデルチェンジすることなく存在する普遍的な一足。
かかと部分にGELを搭載。クッション性は有利ですが重さ的には不利。
今年モデルからデュオソールの形状がターサージールと同じテトラポット状になりました。
スペック比較
TARTHERZEAL 5 | TARTHER JAPAN | |
アッパー素材 | 本体=合成繊維製(ラッセル構造) 補強=人工皮革製 |
本体=合成繊維製(ラッセル構造) 補強=人工皮革製 |
アウター素材 | 合成底(ウレタン)+ゴム底 | 合成底(ウレタン)+ゴム底 |
インナーソール | 取り替え式 | 取り替え式 |
生産国 | 中国 | 日本 |
重量 | 160g ※サイズ26.0cm | 201g ※サイズ26.0cm |
厚さ | 前足部:1.3cm 後足部:2.8cm ヒールカウンター:7.1cm |
前足部:1.2cm 後足部:2.9cm ヒールカウンター:6.7cm |
重さの差は40gとだいぶ違います。ターサージャパンはラスト(足型)がゆったりしてたり、かかとにGELを搭載していたりとそぎ落とされていないからでしょうか。200gオーバーはレーシングモデルとしてはけっこう重い。
ソールの厚さはほとんど同じですが、ターサージャパンの方が前足部が薄いうえに後足部も高い。見比べてもわかりませんが、履いてみるとターサージャパンの方が前傾です。細かい部分ではターサージールはかかと部分に「AHAR+ヒールプラグ」を採用することで耐摩耗性は向上しています。ターサージャパンは通常のラバー。
ターサージールは中足部から前足部にかけてプロパルションプレートを装備。内側と斜め方向には樹脂、外側はHARD EVAと異なる2つの素材を採用したデュオ構造を採用することで蹴り出しのねじれを抑えています。
ターサージャパンも中足部に樹脂パーツを使ってはいるんですが、研究開発により進化を続けるターサージールと比較すると良くも悪くも時代を感じる。
この辺がシューズ自体の固さにも直結してまして、蹴った時のバネ効果はターサージールの方が上。
この刺繍が国内生産の証。中国やベトナム生産だからといって不具合が出たことはありませんけどね。
走行比較
交互に履いて走ってみました。
真っ先に違いを感じるのが足を入れた時のフィット感。ターサージール5は足裏から甲にかけて素材がぴったり吸い付くのに対して、ターサージャパンはけっこうゆるめ。特に底と側面が広くて足の指を動かせるほど。両者はラスト(靴型)が異なるので、靴ひもをどれだけ締めたり緩めたとしてもこの差はうまりません。
そして静止した状態ですでに違いが。ターサージャパンは踵にGELが入っているせいか足裏にパーツが当たる感じがわかります。加えて、ソールは前足部が薄くて踵が厚いのでより踵が高い印象を受ける。これが走った時のクッション性に現れていて、SpEVA&GEL効果でターサージャパンの方が地面からの突き上げは断然少なくマイルドです。ターサージールもFlytefoamのおかげでクッション性は向上しているんですが、こうして履き比べてみると両者の違いは明らか。ターサージャパンの方が足には優しいです。
ペースをkm/3分台まで上げるとさらに違いを感じることができる。ソールは同じなのでグリップ力に差は感じないのですが、キックをサポートするプロパルションプレートのバネ効果でターサージールの方が踏み出す時にグイっと前に進む感じ。ターサージャパンもSpEVAの弾力性があるので推進力は高いです。この辺は好みだと思いますが、ターサージールの方が重量は軽いので足が自然に前へ出ます。
km/4’15で5㎞半ほど走ってみた結果。
一見すると最新技術を惜しげもなく投入したターサージールに軍配が上がりそうですが、ターサーのフィット感やその薄さ(=ダメージ)になかなか踏み切れない人もいるわけで。今のターサーにそうした不満が無ければこのままターサージールでいいと思いますが、幅広でクッション性を求めている人はターサージャパンの方が満足度は高いでしょう。ついでにターサージャパンは来年も再来年も今のままですが、ターサージールは進化し続けます。それは自分にとって必ずしも正常進化とは限らないわけで、この辺もターサージャパンの優位なところ。
さて、あなたはどちらのターサーを選びますか?
それぞれの個別レビューもどうぞ。
はじめまして。
素晴らしい記事だと思います。
私もジールとジャパンのどちらをレースで履くかずっと悩んでいました。
来週のさいたま国際マラソンでは、ジールを履いて初めてのサブ3を目標にしています。
今後も良い記事を期待しています。
ミノルさん
コメントありがとうございます^^
サブ3狙いだとこの二つのシューズは気になりますよね。そう言っていただけるとありがたいです。
さいたま国際はそこそこハードなコースと聞いてますが、気温も下がってきて記録を狙うにはいい季節。サブ3達成できることを祈ってます。頑張ってくださいね!
おかげ様でサブ3を達成しました。
グロスタイムで2時間59分12秒、ギリギリでした。
風が強く、小刻みな登り下りが多く、後半が辛かったです。
シューズはジール5です。
この軽さとクッションのおかげで何とかなったレースだと思います。
ジール6も楽しみですね。
ミノルさん
サブ3達成おめでとうございます!強風のさいたま国際でサブ3達成とは、、まさにナイスラン!
今シーズンさらに記録を伸ばせそうですね、こちらも負けないよう頑張ります。
ジール5いいですよね。コレに満足していればジール6はほとんど変わりませんので安心して移行できます。あえて安くなってるジール5という選択もアリだと思いますけどね。
素晴らしい記事です。とても参考になりました。
私はブログ主様のベストと同じくらいの走力で、ジョグはNEWYORK、レースは旧ターサージャパンを履いているので、とても親近感を感じました。
私は衝撃疲労が苦手でジールやソーティーはどうしても履けず、レースではジャパンしか選択肢がありません。
でも足幅はスリムな方なので紐をいくら縛ってもフィットせず、いつも頭を悩ましています。
新ジャパンを買おうか迷っている内にこちらにたどり着きましたが、新ジャパンもワイズは同じで問題は解決しないと判断できました。ありがとうございました。
たまに覗きにきますので、これからも素敵な記事を楽しみにしています。
kouさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
たしかにターサージールはスリムな足型だと靴紐で調整は限界ありますよね。大会でも左右のホールがくっつくほど目一杯締め込んでいるランナーをたまに見かけます。そんな私も履き込むうちに若干シワが出まして、寿命の短いレーシングモデルと割り切っていますが厳密にはシューズが幅広すぎるのかもしれません。
シューズに限った話ではありませんが、新モデル=進化ではないのが難しいですよね。そういった意味でジャパンという選択なら安心です。
素晴らしいコメントありがとうございます。
今はタ-サ-ジ-ルとアディゼロジャパンブ-ストを履き比べてますが
今後は久しぶりにタ-サ-ジャパンを履いてみようかと思います。
私は踵の収まり具合を特に気にするほうですが 以前のタ-サ-ジャパンは
上記2種に比べ 踵がややル-ズな感じがしました。値が高いのが難点ですが
ベストセラ-が物語るように メイドインジャパンでその作りが丁寧なのが
うれしい。
ホクトさん
巡り巡ってターサージャパンという人が周りにもけっこういます。目立った派手さ(機能)はありませんが、その辺も含めてトータルバランスがいいんですよね。私は軽さ重視で今の所レースではターサージールですが、30km走などでは安定性重視でターサージャパンの出番が多いです。
たしかに、、やや値が張りますね^^;