第9回美ヶ原トレイルラン <西田由香里さん追悼報告会>

レース前日の競技説明会後に西田由香里さんの追悼報告会が行われました。西田さんはこの美ヶ原エリアも好んでよく走っていたそうで、TJARを完走するほどの大ベテラン。そんな西田さんが亡くなった滑落事故の原因やどうすれば事故を防ぐことができたかということを、故人の夫である西田渉さんが報告会という形で発表。山でアクティビティを楽しむすべての人に知っておいて欲しい内容なのでシェアします。


山の事故が何故起こったのかを考える スピーカー:西田渉さん

長野の中アで遭難相次ぐ 3人死亡、登山道が凍結

 長野県の中央アルプスで9日から10日にかけて、登山中の遭難事故が相次ぎ、計3人が死亡した。県警はいずれも、登山道の凍結が多発していることなどが原因とみて調べている。
 県警木曽署によると、宝剣岳(2931メートル)では9日午前、3人パーティーで登山していた大阪府茨木市の会社員、小谷部(おやべ)明さん(47)が滑落。10日午後1時ごろに県警ヘリコプターで救助されたが、死亡が確認された。
 仙涯嶺(せんがいれい=2734メートル)でも10日午前、5人パーティーで行動していた長野県安曇野市、無職、西田由香里さん(44)が滑落、死亡した。

引用:2019年2月10日 産経新聞


この事故は4つの要因が重なって起こっていた。

1.危ない場所で、2.意思疎通が少なく3.装備が不足し、4.転倒し、滑落した。

1.環境
2.パーティ行動
3.装備・技術
4.本人行動

どれかの要因を回避できれば死亡事故は避けられる。

山には危険な場所があるので1.環境は自分でどうすることもできません。また、4.本人行動も、トレーニングでリスクを下げられたとしてもどんな上級者でも起こりうるため回避できません。しかし、2.パーティ行動、3.装備・技術は回避することが可能です。パーティという集団化から出る安心感や、リーダーシップ、メンバーシップが低い中での行動は、自分の能力を超えた時に危険度が高まります。

トレランだけでなくバックカントリースキーや冬山などアクティビティを幅広く楽しんでいた西田由香里さんは、山に対して誰よりも慎重に行動するタイプだったそう。そんな彼女が事故を起こしてしまった要因は、普段ならとらない行動をパーティになることでとってしまったこと。メンバーで同士の意思疎通が十分取れておらず、装備についても十分ではなかった。もしロープを使っていたら、もし直前にルート変更をしていなかったら。起こってしまった事故にもしもはありませんが、彼女が一人だったら結果は違っていただろうと。

自分自身振り返ってみると、調子が悪くて一人だったらペースを落とすか下山する場面でも、仲間に迷惑かけたくない一心でムリしてついて行ってしまったことが何度かあり。ほんのささいなことがきっかけで事故が起きてしまうことを知った今となっては反省。ナイトランをしていたグループが明け方に下山してきた際、林道のなんでもないような場所でメンバーの一人が足を踏み外して沢に転落。大怪我をしたという話しを聞いたこともあります。原因が眠気なのか定かではありませんが、他の人と一緒にいたからすぐに救出できたという見方ができる反面、もし一人だったら事故が起こる前にどこかで休んでいたかもしれないんです。山では単独よりも複数人の方が安全に見えて、必ずしもそうとは限らないということをこの報告会で知ることができました。レベルの高い人が低い人の状態を把握するのは当然として、メンバー同士が互いの状態を伝え合うことが大事。

もし危険な場所があった時に「行けるか行けないかで考えるでのはなく、そこから落ちたらどうなるかを考えた上で行動してもらいたい」という西田渉さんのメッセージはこの先忘れずに心に留めておこうと思いました。今回のレースでもロープが張られていて滑落したら一巻の終わりという場所がありました。いつもなら気をつけながら素通りする場面も「もしそこから落ちたらどうなるか」を考えると少なくとも走って駆け抜けるという行動にはならなかった。危ないと思うだけでなく、そこで起こりうる最悪の事態を想像して行動することが事故の防止につながります。


西田渉さんがFBページを作って活動されているのでぜひご参加を。

今後のYukariの活動について、山岳スポーツを家族や仲間と共に安全に楽しむための普及活動のお手伝いができればと思っていております。安全・技術講習会、トレイルの危険箇所・整備の情報共有・支援など、Yukariが楽しんだ山を家族や仲間と継続的・持続的に楽しめるよう、賛同いただける方と共に一つになって、活動していければ幸いです。

今後、ビジョン、活動方針を明確にさせて頂きます。私は凡人ですが、Yukariの繋がりには行動力、発信力、実行力のあるアスリートの皆様がおります。その繋ぎになれればと思っています。よろしくお願いします。

FBページ:YUKARI Mountain Link

今回の報告会は山との向き合い方を改めて考えるいい機会でした。この先何十年も山を楽しむために、山の怖さを知って謙虚な姿勢を忘れないように。

事故の理解をより深めるのに田中ゆうじんさんのブログも必読です。
遺品回収で、再び仙涯嶺へ -SHORT SKIMO-

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