UTMF2019まであと9日。レースを走られる皆さんは装備品の準備や最終調整などに追われている時期でしょう。今年は落選したのでレースの盛り上がりを悶々としながら眺めていますが、昨年と同じコースということで今年走る人の役に立ちそうな記事を書いてみました。30時間切りを狙う人から、完走目標の人まで幅広く対応できる内容なので、使えそうな項目があれば取り入れてみてください。
序盤は走れてしまうコースなので抑えて入る
昨年よりも距離が3km短くなって、スタート地点が子供の国だけどちょっと位置が変わっていたり、A7とA9手前の道が少し変更になってはいるようですがほとんど同じ。昨年のレースを走った人は念のため大会発表の変更地点だけ見ておくといいかもしれません。
このコースを今年初めて走るという人にぜひ覚えておいてもらいたいのが、序盤は抑えて入った方がいいということ。スタートからA1富士宮までは下りのロードで気持ちよく走れちゃうんです。そして天子山塊でノックアウトされる人多数。長者ヶ岳の上りでうずくまってる人を何人も見たし、A2麓の救護所には戦意喪失した人で溢れてました。リザルト見てもA2麓までにやめている人がけっこう多いので、調子がいい人ほど序盤は意識して抑えた方がいいです。序盤といっても50kmあるんですが、全体の1/3なのでレースはまだまだこれから。
その後の竜ヶ岳までの上りは晴れてれば月に照らし出された圧巻の富士山が拝めます。ただ稜線上は強風がふいてるのでレインウェアなどすぐ取り出せるようにしといた方がいいかも。ここで腹を冷やしていきなりストッパ(下痢止め)の世話になったのは私です。
UTMF2018でキツかった場所TOP3
知ったからどうなるわけでもないんですが、個人的な感想を添えてご紹介。
3位 精進湖民宿村(A4)~勝山(A5)
ひたすら続くロードでは走りと歩きを繰り返し、日が昇ると気温が上昇して1発目の眠気に襲われ。80km弱進めばどんなに調子よくこれていたとしてもそれなりに疲労が出始めるところ。
2位 大平山(120km)
すでに足と腰が終わっていて下りもほとんど走れない状態でした。いつもならなんてことない階段もこの時は強烈だった。
1位 杓子山(144km)
UTMFの難所と聞かれたら多くの人が思い浮かべるのがココだと思う。終盤は山というか岩?上りなので、体力もちろん私はメンタルごとへし折られました。なにせここを下りながら本気でリタイアすることしか頭になくて、人間疲労するとまともに判断できなくなるので要注意。
装備品
これについては過去記事を参考に。万が一に備えて胃腸薬や下痢止めを少量持っておくと安心です。
UTMF2019レース戦略
1.心拍数を上げない走り(歩き)を心がける
特に完走が目標の人に取り入れてもらいたいのがこれ。前述したとおりこのコースは序盤で気持ちよく走れてしまうんです。抑えるのはわかっちゃいるけど周りに引きずられてしまうのが人間なので、不安な人は心拍数を目安にしましょう。一概にいくつとは言えませんが、よく言われるのは自分がゼエハアならないぐらい。以前参加したTarzanの内坂さんのセミナーが参考になります。
2.食べて走ることに慣れる&固形物を併用する
ジェルだけでエネルギーをまかなえるという人はそれでもいいんですが、さすがに30時間近くジェルだけ摂り続けるのは非現実的。胃の負担を考えて食べられるなら固形物と併用することをおすすめします。ちなみに、こんな長時間に渡ってジェルを飲み続けるなんてことはまずないので、普段の生活でジェルに慣らしておくといいです。たとえば1食ジェルにしてもいいし、おやつでジェルを採るのもアリ。固形物を食べたらすぐ走って胃を揺らしてみてもいいかもね。とにかく普段やらないことをいきなりレースでやるのは危険です。
この栄養補給は奥が深くて、自分が好きな食べ物だと吸収効率が上がるし、ストレスを受けると胃が何も受け付けなくなったりもします。昨年のUTMF直前に参加したVespa斎藤さんのセミナーはとても参考になりました。固形物を食べる時はよく咀嚼するなんてアドバイスは常に実践してて今の所レースで胃腸がトラブったことはありません。
3.豆対策
どんなに体調が良くても豆ができると痛みで走るどころではなくなります。事前に豆ができそうな部分をテーピングしておくのもアリ。豆ができるのは摩擦が原因なので、ガーニーグーやベビーパウダーを塗ってなるべく足をドライに保つ。
もし豆が出来て潰れてしまった時のためにエイドキットにこれを入れておくという手も。
4.走れなくなる前にマッサージ
レース中にマッサージ?と思われるかもしれませんが、これ侮れません。というかマストかもしれない。昨年のレースではA7山中湖きららの手前でまったく走れなくなってマッサージを受けたんですが、そこから笑っちゃうぐらい復活しました。足が動かなくなってからでも遅くはないのでどうにも走れなくなったらぜひ!その時には、担当者に何分でお願いするかを伝えておきましょう。ほとんどの人が寝てしまうので睡眠と併用可。そして、これだけたくさんのランナーをマッサージし続けてくれるボランティアスタッフに感謝の気持ちは忘れずに。
5.潔く寝る
どんな急登も睡魔という最強の敵に比べたらなんてことないと感じるぐらい歯が立たない(笑 タチが悪いのが眠い状態でもなんとなく動けてしまうので、あんまりにも非効率だと感じたら寝ちゃいましょう。立ったまま数分眠るだけでも眠気はかなり軽減されるし、完走目標ならしっかり寝て回復を図っても。
6.エイドの滞在時間をとにかく短く
これは30時間切りを狙う人向けなんですが、昨年の自分を振り返るとエイド滞在時間合計は3時間35分もあったんです。エイド滞在時間と順位の推移。
エイド | 滞在時間 | 順位(IN) | 順位(OUT) | 変動 |
---|---|---|---|---|
A1 | 6分 | 251 | 277 | +26 |
A2 | 22分 | 207 | 241 | +34 |
A3 | 12分 | 242 | 230 | -12 |
A4 | 38分 | 212 | 207 | -5 |
A5 | 8分 | 205 | 181 | -24 |
A6 | 8分 | 189 | 173 | -16 |
A7 | 29分 | 178 | 170 | -8 |
A8 | 28分 | 未計測 | 166 | – |
A9 | 64分 | 181 | 196 | +15 |
マッサージを受けたりしたのである程度は仕方ないんですが、タイムを狙うならとにかく短い滞在時間で出ることを心がけましょう。例えば、ベンチに腰を下ろさないとか、固形物は手に持って歩きながら食べるとかね。それとA5勝山で受け取るドロップバッグは中身がぐちゃぐちゃにならないように整理した方がいい。エイドに入る前に何をするか毎回シミュレーションしておくと最短時間で抜けられます。
最後に
レース前に開会式でコースディレクターの鏑木さんからこんなことを言っていました。
「誰かと競うのではなく、自らに挑戦してもらいたい」
100マイルを走り終えてみると言ってた意味がよくわかりました。165kmは果てしなく長くて、どんなに準備を整えようと予期せぬことが次から次へと起こります。そうしたすべてに向き合いながらの壮大なレースを終えた時、それまでの自分とはきっと違っているはず。挑戦したものしか見れない景色をたっぷり堪能してきてください。
(あー羨ましい!!)
私も今年は外れました(涙)同じく昨年走った経験談です
夜は寒く、昼は暑い。
夜のエイドでは、ジャンバーを着用し体を冷やさない様に気をつけました
しかし、2日目は暑くロードが続くので眠気を覚ますため飛ば過ぎてしまいまいした。
結果、食事が摂れなくなり、大平山の山中で大休止する事に・・・
「100キロ過ぎからが本当の100マイルレース」です
天候や体調、他人ではなく己と向き合う時間だと言い聞かせながら、ゴールを目指してください
来年は走りたいよー!
ねねさん
有益情報のご提供ありがとうございます。
たしかに夜は冷えましたね。私もエイドを勢いよく飛び出したら外の寒さに凍えて慌てて戻りました。今年は更に冷え込みそうなので最初の晩に通過する竜ヶ岳など要注意かもしれません。
眠気覚ましに飛ばすという方法もあるんですね。飛ばしすぎるリスクはありますが、眠気がくると足が止まる自分からしたら羨ましいかぎりです(笑
来年はお互い走れるといいですね^^